どくらぼ

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WebGL スクールとリモート受講

リモート受講への対応した経緯

なんともまあ久しぶりのブログ更新ですが、今日は今年(2020年4月末より開講)の WebGL スクールで実現することに決めた「リモート受講」についてちょっと書き残しておきたいなと思い筆を執りました。

この記事を書いている2020年3月現在、コロナウィルスの流行による世界的な不安が広がっています。(世界的はいいすぎかもしれんが……)

日本も例外ではなく、経済・社会・生活などの様々な面で多大な影響が出ていますね……

そんな折にちょうど開催となる今年の WebGL スクールは、通算で第7期目を迎えます。今年は前述のような情勢を鑑みて、オンラインで動画を見ながら受講することができるリモート受講に対応することを決めたのが、つい先日のことです。

リモート受講とは、あらかじめスクールに申し込んでいただいた受講者さんが「自宅などでオンライン配信される動画を見て講義を受ける」ことができる仕組みのことです。コロナウィルスの流行で外出を自粛したり、あるいは大人数が狭い空間に集まるようなイベントを自粛したりという傾向が強まっていることを受けて、WebGL スクール(及び今後開催される GLSL スクールなど)でも、なんとか安全やリスク回避を考慮しつつ講義を行うことができないかを検討した結果、実現に向けて急ごしらえでしたがなんとか準備を整えたような形です。

今年の WebGL スクールについての詳細は、募集開始の告知記事をご参照ください。

リモート受講によって変化するもの

ちょっと話がそれてしまうのですが、実はだいぶ前から、動画配信による講義のスタイルについてはずっと検討していました。

というのは、WebGL スクールは東京の会場で実施しているので、東京近郊にお住まいでない方はそもそも受講することが難しい状況でした。仮に、受講者さんがやる気120%で東京まで出てきて受講してくださるとしても、交通費や場合によっては宿泊費などの面で受講者さんの負担が大きくなりすぎてしまうという問題がありました。

また、私のスクールは基本的に社会人向けであることもあり、お仕事の都合などで参加が難しくなってしまった際に、講義に参加できなかったことが大きな機会損失になってしまっているということも(受講者さんにとって)深刻な問題でした。私が対応できる範囲では、別途補講を開催してフォローアップしたりといったことも実際には行っていましたが、かといってそれを全員に対して公平に漏れなく行うことは個人運営のスクールでは物理的・時間的に無理があり、なかなか講師としても運営者としても悩ましい、難しい問題でした。

そしてこれらの問題を一挙に解決することができる手段が、リモート受講です。

リモート受講が実現できれば、そもそも居住地が東京から離れていても受講することができるようになります。さすがに対面で口頭で講義を受けているのと動画を見ているのとでは、臨場感はちょっと違うかもしれません。しかし、講師の言葉がしっかりリアルタイムで伝わるという意味では、講義の内容については現地にいるのとまったく同じものを受講者さんが聴講できます。

さらに、リモート受講を実現する過程で副産物として「録画データ」や「アップロード済みのライブ配信済み動画」が残りますので、急な仕事や用事で講義を受けられなかった人や、スクールの講義を再度見直して復習したいという人にとっても、これまで以上に質の高いリソースを提供できるようになるはずです。

準備する必要があった機材など

リモート受講を行うことを思い立ってから、一気に必要となる機材の発注や実機を使った配信のテストなどを行いました。

ザッと挙げると、次のようなものを新規に購入しました。

  • 撮影用のビデオカメラ
  • 予備のバッテリーなど
  • 録画データバックアップ用 SD カード
  • 三脚やカメラ固定用の部品
  • HDMI キャプチャデバイス x 2
  • ワイヤレスマイクの送信機・受信機 x 2
  • 各種ケーブル関係いろいろ
  • 充電式乾電池
  • これらを一度に運ぶためのバカでかいリュックなど

上記のうち、重複して2つ購入しているワイヤレスマイクは、万が一のトラブルに対しての予備機材です。

ワイヤレスマイクに関しては業務用のものを2セットなのでめちゃくちゃ高額な出費になってしまったのですが…… 多少高額な出費であったとしても、これだけは是が非でも購入する必要がありました。

というのは、リモート受講では、動画の映像の部分というのは「講師の様子を撮影しているだけ」にすぎないので最悪それがなくても講義の内容はわかります。なにかしらのトラブルで映像が撮影できていなかったとしても、まあなんとかなると思うんですよね。

しかし音声が正しく収録できていない場合、無音の映像だけを見ていても講義の内容はほとんどわからないと思いますし、映像とは違って音声が無いということになると講義そのものが意味をなさなくなってしまいます。それらのことを踏まえて、業務用のしっかりしたものを予備も考えて2セット購入した形です。

また HDMI キャプチャデバイスは、構成的に2つ必要でした。講師の手元にある「講義に使っているラップトップ」からの出力(つまり会場でプロジェクターに出力している内容)と、「講師を撮影しているビデオカメラ」からの映像を、一度に合成して動画で配信するために HDMI が同時に2本、録画・配信用の PC に入力される必要があったためです。このような構成であれば、講師がプロジェクターに映している映像をメインに、画面の隅に講師の姿が映っている映像という感じでリアルタイムに配信が行なえます。

機材は大量ですが、40L クラスの容量がある大きなリュックに全部を詰め込めば、なんとかかろうじて一人で背負って移動できそうで一安心という感じ。

セットアップには絶対に時間が掛かるので、これまでよりも早く現地入りする必要がありそうですが、なんとかリモート受講の仕組み自体は構築できることを確認しました。

リモート受講や動画配信でのプログラミング学習

実は今回のリモート受講実現とは直接的には関係ないのですが、私自身、少し前から「動画でプログラミングを学習するということ」についてぼんやりと思考を巡らすことが多くありました。というのは、以前 Twitter かなにかで「最近の若い人たちや子供たちは動画で様々なことを勉強する」というのを見かけたときに、なるほどなあと感心したことがあったのですよね。

思い立ったが吉日ということで、それから早速、実際に YouTube に行って「プログラミング 学習」などで検索してみて、その結果を見たときにそのあまりの惨状に本当に悲しい気持ちになりました。検索結果として並んでいる動画はどれも「○○ヶ月で○○稼ぐ!」とか「いま稼げるプログラミング言語はこれだ!」といった、本当になんていうか……チリの一粒分の価値もない動画ばかりだったんですよね……

そういう現実を知らなかった私が愚かなだけなんですけど、あまりに酷すぎる現実にカルチャーショックを受けました。

偏見や先入観で物事を考えてはイカンなと思って、実際にそれらの動画を感情を無にしていくつか見てみたりもしたのですが……

本当に、情報弱者を狙ったこういう下衆な行いがなぜ平然と行えるんでしょうね…… まったく理解できない世界でした。

ドットインストールや Udemy のような「動画を活用したプログラミング学習プラットフォーム」も結構前から存在していますし、そういった類の動画に関しては、もちろん情報商材詐欺みたいな内容ではないと思います。でも、やっぱり無料で誰でも自由に閲覧できる動画の中に、質の高いプログラミング学習のためのコンテンツが少しずつでも増えていかないと、結果的に割りを食うのは我々現役のプログラマーなんじゃないかなと思ったりもします。業界の将来を危惧しているみたいなことを言いたいわけではなく、自分になにかできないかなあというのを強く感じました。

たとえば日本の伝統芸能や意匠は、多くの場合において後継者不足が問題になっているというのをよく見聞きします。時代に合わせて変化していくことができないものは、どんなに努力をしても、それがどんなに素晴らしいものであったとしても、やっぱり少しずつ失われていってしまうように思います。伝統芸能や職人技とプログラミング学習を一緒にするのはちょっと乱暴だとは思うのですが、やっぱり動画を学習プラットフォームとして選択する世代がこれからどんどん増えていくことが予測できるなら、これからは動画というジャンルにおいても、プログラミング学習のための高品質なコンテンツを作っていく必要があるのではないかと、どうしても考えてしまうのでした。

実際動画でコンテンツを配信することを考えると……

まずなによりも時間的なコストとかがすごいことになってしまって、編集作業とか収録作業とか、慣れたとしても相当きつそうだなというのが現時点での体感としてはあります。私の場合は文字をテキストとして入力したりすることはあまり苦ではないので、普通にウェブサイトを更新するのはそれほど負担にならないのですが、動画を作るとなるとワケが違いますね……

それでも、なんか今後はそういうこともやっていく必要があるのかなと今は感じています。

願わくば、それが私自身の実入りにもつながってくれたら嬉しいのですが、まあ最初からそれを考えるのはちょっと難しいかなと思います。まずは、採算とかは考えずに、いかにして良いコンテンツを提供するかをじっくり検討を重ねながら、実行していくしかないのでしょうね。がんばります。